歯科治療

反対咬合は不正咬合なのか?

こんにちは。

目白バイオインプラントセンター・

田中歯科クリニックの田中宏和です。

 

一般的に正常の咬み合わせ(咬合)とは、

下の歯に対して上の歯が被蓋(覆い被さる)

する状態を言います。

それに対して、下の歯が上よりも前に

出ている状態の咬み合わせを

反対咬合と呼び、検診などでは

不正咬合に分類されます。

これは絶対にいけないのか?

を考えてみたいと思います。

私の友人のKくんです。

見苦しい?無精ひげはご愛敬として・・・笑

正面観と側方からの画像をみていただければ

分かる通り、明らかに下顎が前に

出ていますね。

先日亡くなったプロレスラーの

アントニオ猪木さんを思い浮かべたら

ほとんどの方がイメージできるでしょう。

 

例えば、猪木さんの下顎を削って

後ろに引っ込める手術をしたら・・・

と想像してみてください。

もちろん私も猪木さんの口腔内を

見たことはありませんが、

下顎が引っ込んでいる猪木さんは

きっと男っぽさが減少し、

強くみられないのではないでしょうか?

(もちろん格闘家だから・・もありますが)

Kくんも同様で、顎がシュッと出た顔貌は

男っぽさがあり、口腔内を診ても

しっかりとした咬み合わせが確認できます。

実は20年ほど前にKくんから

この反対咬合を治せないか?

と相談されたことがありました。

口腔内を診て、咬み合わせをチェックしてみた

ところ、機能的にも全く問題は無かった

ため、いじる必要は無いことを

彼に伝えました。(^^♪

彼は少し不満そうでしたが・・・笑

 

不正咬合と診断され、矯正治療を行う場合、

基本的に歯並びがガタついていて

ただ歯列を整えるケースと

顎骨(上顎や下顎の骨)を切って移動

させたり、顎を拡張させる手術を行う

必要のあるケースがあります。

Kくんがもし、どうしても下顎を

引っ込めたかったら顎骨の手術を

大学の口腔外科に依頼してやってもらう

必要があります。

しかし、もちろん入院しての

かなり大掛かりな手術になりますし

場合によっては神経の麻痺が残る可能性も

あります。

さらに顎骨を移動させたら咬み合わせが

大きく変わりますから、

(顔貌ももちろん大きく変わります)

それに対する治療も必要となってくるのです。

私の大学生の時、女子学生が2人

夏休みを利用して、この顎骨移動手術を

受けておりました。

ある意味 美容整形に近い部分もあるのですが

周りはみんな歯科大生・・・

隠す必要もありませんしね。。(^^♪

 

それらをトータル的に考えた場合、

Kくんの場合、やらなきゃ良かった・・・

となる可能性が高いと判断しました。

(1度やってしまったら元には戻りません)

 

あまり男性と女性・・・と区別した

考え方をしたくはないのですが、

もし女性だった場合は少し変わってきます。

テレビでお笑い芸人が「シャクレ」という

言葉を使って、反対咬合の人を揶揄する

発言をしていますが、女性で反対咬合の方で

それを強烈にコンプレックスに持っている場合、

リスクを考えても顎骨の切除を提案する

ケースもあります。

(もちろん男性でもあり得ます)

要は、顔貌のバランスがとれているかどうか、

咬み合わせがきちんとなっているかどうか、

を基準に判断するわけですね~♪

 

とりあえず本ブログでの

反対咬合は不正咬合なのか?

というサジェスションに対しての私の回答は

「反対咬合であっても機能的にも視覚的にも

 問題がなければその人にとって正常咬合である」

ですね~

 

私も高南小学校の歯科校医をしておりますが、

検診を行うと、不正咬合に分類せざるを得ない

生徒が何人か見受けられます。

豊島区歯科医師会の学校歯科医会では

今年度から試験的に不正咬合と診断された

生徒の無料相談を行うことを決めました。

7~8人の矯正歯科専門医が手を挙げて

くれましたので、その先生方と連携を

取りながら児童の口腔内の問題に

取り組んでいきます。(^^♪